とりまきface
真実の姿
 遥人は、総務から応援に来た亜美の存在が気になっていた。

 素直な表情に可愛いと思った。

 自分のとりまきの女達は綺麗だがどことなく冷たく、狙いが何なのか? 疑わしいものだ。

 それに比べ、亜美の笑顔は暖かい……


 帰りのエレベーターで偶然居合わせた亜美を食事に誘ったら、すぐにオッケーしてくれた。

 それから、事が上手く運び亜美と付き合う事になったのだ。



 しかし、亜美と一緒の所を職場の奴に見られ、噂が広まってしまったようだ。


 とにかく、今は忙しい…… 

 新商品発表会に追われている。


 部長になって間もない遥人には責任が重くのしかかり、ピリピリしていたのは確かだ……



 新商品の会議が終わりほっと息を着くと、亜美の後ろ姿が目に入った。


「亜美……」


 振り向いた亜美の目からは涙があふれている……


「部長……」


「どうした?」


「私みたいな子が、部長と付き合っちゃダメなんです」


「亜美…… 何か言われたのか?」


 遥人は亜美を優しく抱くと、とりまき達への怒りが込み上げて来た。

< 8 / 26 >

この作品をシェア

pagetop