201号室の彼女にお礼をしようと、この間まで勤めていた大学病院の近くにある焼き菓子専門店で、マドレーヌを詰め合わせてもらった。


数か月前、雑誌で取り上げられていて、混雑した店内はほとんどが女性ばかりで、入ることすら少し躊躇ってしまったけれど。


出来れば、この週末の間に直接謝罪しないと。

そんなことを考えながら、何度か彼女の部屋のインターホンを押してみた。
けれど、彼女がそれに応じることはなかった。

不規則な生活をしている彼女のことだ、きっとどこかへ外出しているのだろう。

そう思いたいけれど、泥酔して部屋を間違い、挙句に宿泊までさせてもらったという罪悪感から、彼女がインターホンのモニターで俺を確認して、居留守を使っているのではないかという考えが浮かんできて、気持ちが沈んでいく。