「空、今日で期末テストも終わるなぁ…お前夏休み何すんの?」


訪ねてきたのは隆志だ。

「俺?…別に特にいつもと変わらんだろ。バンド活動が中心だろうな」


俺は最近、他校の生徒からバンドの誘いを受け、それを快諾した。


ギターが好きでよく弾いていたが、どうせやるなら、バンド形態を望んでいたからだ。


試しにお互いが好きな曲を練習し、後日合わせ、結果、しっくり来たという訳だ


隆志は顔をしかめ、俺を怒鳴り付けた。


「はぁ?!高校LifeのSummerVacationだぞ?!バンドばっかりが青春か?」


「そんなにデカイ声で喋んなくても聞こえてるよ。じゃあ他に何がある?」


隆志は不適な笑みを浮かべた…


「青春といえばお前……女だろうが…」


一瞬、松永みすずの顔が思い浮かんだ。


「…で?宛はあんのかよ?」


隆志は任せておけ、と明後日の日曜日の予定を、勝手に決めた。


そして当日…


とても天気がよく、夏にも関わらず、風が気持ちいい朝だ。


俺は隆志が住む、電車で40分はかかるI市へ行くため、電車に乗った。


五つ目の駅で、俺は自分の目を疑った。


松永みすずだ!!


停車した電車のドアの前に、松永みすずが立っている!


やばい!このままじゃこの車両に…


考えている間に、ドアは開く…


みすずは俺に気付いたのか?


良かったのか悪かったのか、みすずは俺をスルーし、背を向けるような形で座席に座った。


偶然というより奇跡だ!学校が休みの日に、出会えるなんて…


これが何かのきっかけになれば…


いやしかし、松永みすずが俺を知っているとは限らない…


それはそれで悲しいが…


とにかく俺は、松永みすずと同じ電車の、同じ車両に乗っている…

後は、この隙間をどうにか打開できないだろうか…


そう考えていると、みすずが何やらモゾモゾしだし、急に立ち上がった。


こっちに来る!!


そしてスルー…


別の車両に行くのか?トイレか?


目で追っていると、何か落ちるのに気が付いた。


ハンカチだ…