愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
任務その⑦『副社長の意外な一面は、自分だけの秘密にせよ』
副社長とリバティの発売記念パーティーに出席してから早二週間。社内で私はすっかり有名人となってしまっていた。


「ねぇ、あの人でしょ? 副社長が庇った人って」

「しかもお姫様抱っこまでされたんでしょ? なにその夢みたいなシチュエーション! 羨ましい~」

「え、大して可愛くないくせにどうして彼女が副社長の秘書なの?」

「あの人、仕事まったくできないで有名なんでしょ? それなのにどうしてクビにされないわけ?」


社内を歩けばなにかしら女性社員にコソコソ話される。それは羨望のものから、嫉妬のものまで。


「そりゃ当たり前じゃな~い! 社内で最も人気がある副社長の秘書に抜擢されただけではなく、なによ。菜穂美に代わって頭を下げてくれて、怪我したからってお姫様抱っこで車まで運んでくれた!? まさかリアルな世界でそんなことをやっちゃうメンズがいるとはっ……!」


この日の夜、紗枝とやって来たのはいつもの居酒屋。ここ最近、ふたりで食事に行くと決まって話題は副社長のことばかり。
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