真夏のプール
第2章
「あーあ。とんだ災難だったな」
真海は長いデッキブラシの棒の先端に顎を乗せて言った。
「誰のせいよ」
私はそう言って、彼の腕を軽く殴る。
思い返すだけでイラッとくる
あの数学の時間。
ー……
ヤバイと思ったその直後、私達を睨みつけていた数学の先生はズカズカと近寄ってきた。
そして私の机に届くことはなく、無残にも風に舞い上がって床に落ちた紙を手に取った。
これは相当ヤバイ。
ヤバイしか出てこないくらいヤバイ。
冷や汗をかき始める私と、隣で絶望的な顔をする真海。
そして紙に目を通した先生が言った。
「おい林田。俺の授業はそんなにつまらないか?なぁ?」
まぁ、つまんないから。
数学はほんとにつまんない。
先生が悪いとかじゃないの。
数学が私に合わないの。
そんな事を心の中で思って、心の中でこっそりと主張してみる。
「それとな、筒井……」
私が馬鹿みたいな反論をしていると、
「今は美術の時間じゃないっ!!!!!」
と、真海が盛大に怒られた。