世界の劣等者~世界復興編~
壱章
「ノアが!?────あ…いや。と…取り乱してしまいすみません」
「仕方が無い。君はノアの唯一の友達だからな…」

俺は、昔彼女と約束したんだ。
『差別を必ず無くす』って。
でも、彼女が先に行ってしまった。
そして月日が経ち、世界線の超えた場所から帰ってきたのだという。
でも、彼女は────

「ノア!」
「…セウガ!」

彼女は大罪人となった。
そして死刑を宣告された。

「ノア!」
「…」
「…ノア?」

彼女は俺の前で俯いたままになった。

「俺…」

俺は2人の兵士を押しのけてノアの手を掴んだ。

「俺が…!」
「セウ…ガ」

彼女は顔を上げた。

「俺が差別を無くす!ノアの分の為に!」

彼女は昔と何も変わらない。
でも彼女は俺に、

「セウガ…昔と変わってない。僕は…変わったけど…。差別を無くす…それは無理だよ。僕ね…無種里界に行ったんだ。…そこでも少しは差別があったの。感情がある限り…無くすのは不可能なの…そして」

彼女の本当の姿を知る事になるなんて思わなかった。

「僕は…た〜くさん!人を!いいや…リトをぶっ殺して来たの。断末魔と言ったら…もう…たまらないよ」

彼女────ノアは今までに見たが無いほどの不敵な笑みを見せた。

「僕は…差別を…創った。…創り方を知ったんだ。でも…無くし方は分からなかった。…でもね」

俺の顔を見つめ、

「負の力は凄いよ…。僕の能力値を…一気にあげた!僕の…僕の!!」

俺は驚愕した。昔と今を脳内で照らし合わせる。だが、姿しか一致しない。ノアに一体何が起きたんだろうか。

「…セウガ。僕、来てくれると思ってたよ。このね…手錠。力を封じる────魔封石を使ってるケド…負の力は…皆、コントロール出来るもの…。だから…」

ノアの手に禍々しい力が集まる気配がした。そして俺はノアから手を離してしまった。

「こうやって…こうすれば…外れるの」

ノアは軽々と手錠を外した。

「僕は…また旅立つよ────新たな星(世界)に」
「差別をなくす為に?」

ノアは首を振る。

「差別は消えない。消えることは無い。『感情』がある限り…だから試そうと思うの」
「試すって?」
「感情を消すの。負の力を持ってすればできる事。だから、差別が酷い…僕の世界よりも強い…そういう所を探す。世界線を越え続けて…」
「俺達よりも強い差別…?」
「もっともっと種族間で問題が起きてる所…」
「そんな所…あるの?」
「あるよ。世界は広いんだから。僕の力で探す。セウガはどうするの?」
「俺?」

俺は脳裏にある事全てを言う。

「俺は、差別をなくす。ノアとは違うやり方で。負の力を使わない。そんなやり方」
「ないよ!そんなの無い!『感情』を失くすしか!」
「ある!」
「…そこまで言うなら探して見てよ!僕は遠くから見てるから!絶対ありえない!失くすなんて!」
「俺達が死んで差別が無くなるかもしんねーだろ!」
「…500年」
「え?」
「500年待つ。それだけあれば…足りる?」
「わからん。500年経って少しでも減っていたら?」
「…考える。リト達が変わるなんて考えられないから」

「数年後会いましょ」と、そう言い残し姿を消した。
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