キミとひみつの恋をして

secret.9



合宿2日目。

今日も体育館までランニングの後、練習が行われた。

二ノ宮と三輪君は、まだ少し険悪な雰囲気……というか、三輪君の二ノ宮に対する態度があからさまにきつく、監督も「こじらせやがって」とぼやく始末。

そして、見るに見かねたのか、この空気を変える為なのか。


「俺からの差し入れだ。これ食い終わった奴から宿舎に戻れ」


午後、練習試合が終わると、監督がクーラーボックスを開けてそう言った。

配るように言われて中を確認すると、ソーダ味の棒アイスがぎっしり並んで入っている。

体育館に空調はあるけれど、動き回って汗をかいている部員は、このアイスによりテンションが少し上がったらしい。

みんな、嬉しそうにアイスを受け取って味わっている。

二ノ宮は、私からアイスを受け取る時に困ったような笑みを浮かべていた。

……多分、自分と三輪君が原因で監督に気を遣わせたと感じているんだろう。

そして、最後にアイスを手にしたのは三輪君で。


「いただきます」


律儀に挨拶を口にしてから、アイスを食べ始めた。

しかも、なぜか私の隣に腰を下ろして。


「マネージャーの分は?」

「もちろんあるよ」

「早く食べなよ。溶けちゃうじゃん」


……これは、一緒に食べようということなのだろうか。

というか、ここで三輪君を置いて二ノ宮のところで食べると不自然だろうし、おとなしく彼の隣に座る。


< 72 / 240 >

この作品をシェア

pagetop