(完)嘘で溢れた恋に涙する
涙の場所
6時間目の終了を知らせるチャイムの音が鳴り、号令がかかって先生が出て行った。


いつの間にか硬くなっていた肩の力を抜いてゆっくり息を吐く。


なんだかどっと疲れた。


きっと引っ越し疲れと隣から感じる緊張感のせいだ。


早く帰ろう。


ホームルームを軽く聞き流して、私は席を立った。


この学校は試合や大会の度にわざわざ船に乗るのが面倒だという理由で主だった部活がないらしい。


細々と文科系の部活は少ない人数でやっているらしいけど。


だからみんなそのまま靴箱に向かっていて、私もその人の流れに乗って歩いていく。



「おい!由姫!」



後ろから怒鳴るような声色で名前を呼ばれ、ビクッと肩を震わせて振り返った。



そこには少し怒ったような顔の理玖とクラスメートの何人かの男女がいた。



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