海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「だから紹介するって言ってるのに。」


半ば呆れ顔なのは、1年生の時から友達の榊瑞穂。


クラス替えがある2年に進級した時に、また同じクラスになれた仲良しの一人で、

ポニーテールにしたロングヘアに、モデルのようにスラリと高い身長は169センチ。

そして、明るくハキハキとした性格。


明るい性格のせいか友達は多く、いつも「紹介する」と言ってくれるけれど、なぜか瑞穂にも彼氏はいない。


「まぁ…気が乗らなくて、ついつい断っちゃうさくの気持ちも分かるけどな。」

そう優しく理解してくれたのは、もう一人の仲良しである村山梢だ。


生徒会役員をしている梢は、色白でショートカットがとても似合っていて、

笑った時にチラッと見える八重歯が何とも可愛いらしい女の子。


ちなみに、中学卒業と同時に付き合い始めた彼氏とも、もう2年目になる。


「ありがと、梢。」

ふふふっと小さく笑いながら、私は肩をすくめた。


『きっといつか素敵な人と出会って、本物の恋が出来るよね…。』


そんなかすかな期待を心の中で呟いた時だった。


「あっ、相葉先生。」


窓の外を見下ろしながら瑞穂が言った“相葉先生”こと、相葉大樹先生は、今年からこの高校に赴任した先生だ。


担当教科はパソコンで、
年齢は29歳。


見た目は至って普通。


クールな雰囲気を漂わせるメガネに、しゃんと伸びた背筋からは、育ちの良さや真面目そうな雰囲気が漂っている。


だけど、生徒同士の話で聞く“相葉先生”の噂はあまり良いものではなかった。
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