独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます


スタッフルームにある窓から外を眺め、小雨がまだ続いていることを確認する。

仕事も終わり、すでに帰り支度も整っている。

しかしこれから、遼とデートの約束が入っていて、その待ち合わせ時間まであと一時間半もあるのだ。

どこで時間を潰そうかと考えても、雨が降っていることを思えばここから移動することすら面倒くさくなってしまう。

ビルの中にあるお店なら濡れずに済むとも考えたけれど、それもなんとなく気が進まない。

とりあえずもう少しここで時間を潰そうと近くにあった椅子に手をかけた時、トントンとドアがノックされた。


「あぁ。西沖さん、良かったまだいてくれて」


開いたドアから顔を覗かせたのは、店長だった。


「どうかしましたか?」


また何かトラブルでも起きたのかと表情を険しくさせると、店長が苦笑いを浮かべる。


「まだ時間があるなら、申し訳ないんだが……コーヒーを届けに行ってもらえないだろうか」

「え? コーヒーを届けるんですか?」


うちの店は、そんなサービスなどしていなかったはずだけれどと、ついつい怪しんでしまう。


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