独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
2章、


温もりに包み込まれたまま目を覚ませば、すぐそこに、倉渕君の整った顔があった。

気持ちよさそうに寝息を立てている彼の腕はしっかりと私の身体を抱きしめていて、彼の肌と触れあうことで感じる心地よさに、私はうっとりと息を吐いた。

広々としたホテルの一室。ベッドの中には倉渕君と私。一糸まとわぬ姿で抱き合っている。

駅前で彼と口づけを交わし、熱が冷めぬままこの高級ホテルへと向かい、そしてそのまま私は……倉渕君と、一晩を共にしてしまった。

朝になり、昨晩より少し冷静になれば、彼とぴったりくっついているこの状態が恥ずかしくてたまらなくなってくる。

私はあの倉渕君と……しちゃったんだ。

ぼんやりと彼の綺麗な顔を見つめていれば、何とも言えない気持ちになっていく。

彼は学生の頃から人気があった。私の周りでも、彼に片想いしている女の子がいっぱいいた。

ものすごくモテてはいたけれど、彼女が途切れたことがないとかそういう感じではなく、どちらかと言えば、みんなのアイドルといったような孤高の存在だった。

私がそんなイメージを抱いているのは、彼が誰かと付き合ってるという話を聞いたことがなかったからだ。

そんな彼とこんなことになるなんて……初めての相手が倉渕君だなんて……まさかの展開である。


「……遼」


そっと頬に触れてみる。

しなやかな肌はとっても温かくて、彼との一夜は現実のことだと思い知らされる。

ゆっくりと彼が瞼を持ち上げた。

綺麗な瞳が私を捉えれば、わずかに口元に笑みが広がった。


「麻莉」


掠れ声で名を呼ばれ、どきりと鼓動が跳ねあがる。


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