紳士的?その言葉、似合いません!
◇なぜこうなった



なぜこうなったのか。


考えてみるものの全く以ってわからない。アルコールか。アルコールのせいなのか。いやそれを抜きにしてもわからない。本当に、なぜこんな状況になっているのか。


ちらりと隣を見てみればバッチリと目が合いニッコリと笑顔を返してくる男…もとい同じ職場で働いている同僚の都築 湊(つづき みなと)にわたしは胡乱な目を向けた。



◇◆◇


ことの始まりと言えばついさっき。と言っても数時間前だ。


仕事が終わり、一緒に夜ごはんを食べようと彼氏と約束をしていたので待ち合わせのレストランに向かった。


彼氏とは結構長く続いていて25歳から4年間。このまま結婚まで行くのかな?なんて三十路前にして乙女チックなことを考えてしまうことも多々だけどこれは仕方ない。女性なら少なからずわかる感情だと思う。


彼氏はわたしよりも年下でちょっと頼りないところとか軽いところとかあるけどそれはわてしがなんとかすればいい。姉さん女房ってやつ?


わたしだって一応は女だし甘えたいときもあるけど自分のキャラ的にも無理だしね。甘えられるのは嫌いじゃないから今までうまくやっていけたんだと思う。


そんな彼から久しぶりに誘われてもしかして今日か?今日プロポーズだったりするのか?なんて浮かれきったわたしの面前で彼氏が言った一言。



「ごめん。子どもできちゃったから別れよっか」






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