「オウスケくん。私ね、さっきの男の子……康太くんのことは、本当に何とも思ってないよ」

そう口にして彼のことを見つめながら、今度は私が口を開く。


「……だけどね。康太くんとか、それ以外の友だちにも色々言われて、何か……


自分の気持ちがよく分からなくなってしまって」


声が震える。どう思われるのかが不安で目を背けてしまいたくなる。

でも、しっかりと伝えなきゃ。


「どういうこと?」と聞いてくる彼に、私は一呼吸置いてから、言葉を続ける。



「周りから〝昔いじめられてたのに本当に好きなの?〟とか色々言われたの。それに対してはね、〝そうだよ〟って強く思えた。
でも……


〝いつか気持ちが落ち着いた頃、いじめられていた頃のことを思い出して、彼のことがまた嫌いになるかもしれない〟って言われたことが、頭に引っ掛かってる……」


私の言葉を、彼はただ黙って聞いている……。

無表情だから、今何を考えているのかは分からない。


でも、続けなきゃ。


「私、オウスケくんのこと凄く気になってる。好きに、なり始めてると思う。

だけど、その言葉を聞いたら……不安になってしまって。


いじめられて、それが私への深い傷になったことは確かなの。
今は〝好き〟って気持ちが勝ってるけど、いつかこの気持ちが今より落ち着いた頃、またオウスケくんのこと怖くなるんじゃないか、とか……」

勝手なことを言っている自覚はあった。
だけど……。



「私、オウスケくんのことをもっともっと好きになりたいって思う。
でも……



この先自分の気持ちがどう変化するのかが分からないから怖くて……



これ以上好きになれるのか分からなくなってきた……」


私、何て最低なことを言ってるんだろうと思った。


だけど、



きっと大切に想いたい相手だからこそ、本音をぶつけたいと思った……。



今まで恋愛をしてこなかった私は、今初めて、恋愛って少女漫画やドラマみたいにすんなり上手くいくものじゃないのだと思い知ったーー……。


現実の恋は、こんなにも辛いものなんだ。