あなたのことは絶対に好きになれない!
「どういうこと……?」

好きになれなくてもいいって……。だってそんなの、本当に恋人同士だって言えるの?


すると彼は。



「ていうか俺は、そんなのとっくに覚悟の上だっての。
小学生の頃、クミのことが好きだったからとは言え、お前に嫌なこと散々してきたのは事実なんだから。
今も嫌われてて当然なのに、俺のこと好きかもとか、もっと好きになりたいとか、そういうこと言ってもらえるだけで充分だっつの。


ったく、声震わせて、泣きそうな顔で改まって話し出すから、別れ話かと思った。そんな話かよ」


はああ、と深く息を吐きながら、彼はソファの背もたれに片腕を掛け、天井を仰ぐ。

どうやら本当に、彼にとってはどうでもいい話だったようだ……。

でも、何で? これ以上好きになれないかもって言ってるのに……。
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