あなたのことは絶対に好きになれない!
「へー、じゃあ早坂、あの企業で新規開拓出来たのかよ! さすが若手エリートは違うわー」

「いえ、たまたま社長と気が合ったっていうだけですよ」


ある日のお昼休み。
食堂で営業の阪野先輩、オウスケくん、山田さん、私の四人で同じテーブルで食事をしていた。

普段は営業さんと一緒に食事をすることってあまりないけれど、席が混んでいたので相席をすることになった。


「早坂さん、本当に凄いです〜! 営業成績も常に上位だし、ほんと憧れちゃいます〜!」

山田さんは、彼らと相席になった時からずっとこのテンションでうれしそうだ。まあ、オウスケくんのこと素敵だって以前から言ってたもんな。


「金本さんもそう思いますよね⁉︎」

隣に座るそんな彼女に急に話を振られて、思わず「え?」と聞き返してしまう。


「だから、早坂さん素敵ですよねっていう話です!」

えー、私にその話題振る⁉︎
でも、そんなことないなんて言える訳ないし。


「は、はい。素敵だと思います」

精一杯の笑顔で、正面に座るオウスケくんにそう伝える。
彼は王子様スマイルで「ありがとう」なんて返してくれたけど、これが素の彼でないことをちゃんと分かっているから、この会話は恥ずかしすぎる!

確かに仕事が出来ることは凄いと思う!でも、素敵な男性だなんて思ってない……


思ってない、んだからね……。
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