【詩】レクイエム(Aさんへの鎮魂歌)
あのときも

こんな夕焼け




あなたのもとへ行こうとして

あのビルの途中まで

登ってみた

(あの階段はずいぶん狭くて急なんだね)


踊り場から

工業地帯に続く

ごみごみした街を

眺めてみた



でも

夕焼けが あまりに 美しくて

見とれて

涙ぐんで

階段を すごすごと 下りてきた


わたしに足りないのは

勇気? それとも 絶望?


なんだか悔しくて

地上2メートルくらいの高さになったとき

えいっと飛び降りて

足を挫いた



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