嵐の夜は 〜執着系上司に捕まりました〜




非常灯だけが部屋の輪郭をぼんやりと浮かび上がらせている。窓辺に立ち、ブラインドの角度を少しだけ外が見える角度に動かすと横殴りの雨。

かなり酷そうだ。

机の引き出しからスマホを出して天気予報を見ると、暴風雨警報発令中。


おまけに通勤でつかっている電車の路線はこの天候で止まっているらしい。


きっと帰宅困難にならないように会社が全員に早めに帰るよう通達を出したのだろう。

資料室にいるわたしを誰も呼びに来てはくれなかった。

きっとワザと連絡をしてくれなかった。


部屋が瞬間的に明るくなり、数秒後ゴロゴロガシャーンッと耳を劈く音。

「ひゃああっ!」

耳を塞いでその場に蹲る。

何度も何度も、明るくなっては爆音が誰もいない広いオフィスに響いて、気の所為か床まで振動しているように感じた。


どうしよう。

タクシーで帰るべきか。
だけどこの雷雨の中、外に出てタクシーなんてつかまるだろうか。


なんでわたしがこんな目に・・・・・!
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