愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
許嫁宣言されました
 私の名前は鈴本茜、二十二歳。

 有名国立大学を今年卒業して、晴れて六本木にあるアパレル関係の外資系大手商社“レティア”に就職した。レティアは、六本木を象徴するタワービルの四十階から四十六階まで入居していて、全国にも支店がいくつかある。

一部上場企業で、全社員数合わせたら三十万はくだらない大所帯の会社だ。この就職難の中、夜景の見える綺麗なオフィスで働きたいという下心があったなんて言ったら、動機が不純だと怒られてしまうかもしれない。そうは言っても、ファッションは好きだし、よく雑誌も買う、どんな系統の服が売れるのか考えたりするのが好き。メーカー就職も考えたけれど、やはり売り手と買い手のパイプ役である商社勤務は私にとって魅力的だった。

そんな仕事に興味を持ったはいいけれど、営業として仕事をするには、少々内向的な私では向いていない。あまり表立った性格ではないため、営業課の精鋭たちをサポートする秘書課に希望を出していたら、難なく第一秘書課に配属が決まった。
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