秘め恋
打ち明け話

 自分のせいで漂った気まずい空気に耐えられず、マサはアオイに謝ることにした。

「最低っすよね、こんな話。すいません。変なこと話して」

「全然! それはかまわないけど……。大変だったんだね」

 否定とも肯定とも取れる視線で、アオイはマサを見つめる。

「ははは。恨まれるの当然なんで別にいいんすけどねー」

 気持ちとは裏腹に、マサは明るい声を発してしまう。いたたまれない。軽い口調にあえて軽薄さをにじませてみても、罪悪感や気まずさは拭えなかった。息をするのもやっとである。

 この感覚は、多分一生忘れないな。

 この件を当事者のイクトに知られた時の感覚を、今まさに追体験している。

 そんなマサの心境にまで想像が及ばないのか、はたまた反応に困っているのか、アオイは上気した頰をそのままに、困惑を隠さない視線をカウンターテーブルに固定させている。

 夕方前から夜までのわずかな時間、店内の客足は一時的に落ち着く。土日はひっきりなしに客が来るが、平日だとぽっかり暇が出来る。

 夏休み期間中もそれはだいたい同じで、たまに外国人観光客なども来たりするが、それ以外は特に普段と変わったところもなく、まったりできる余白の時間が訪れる。

 特に人手もいらないので、そういった時間帯は大抵マサとアオイの二人きりで店を回している。マサが休みの日は他のバイトが同じようにアオイと二人きりのシフトになっている。
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