ケーキ屋の彼

「お2人さん、2人だけの世界に入らないでください」


2人は気づいていなかったが、2人のやりとりをみんなは見ていた。


柑菜は見られていたかと思うと、なぜだか急に恥ずかしくなり、「涼が変なこと言うから!」とその責任を涼に押し付けた。


「はあ?!」


それに対し、自分は何も悪くないというように反論する涼。


「ほらほら、きょうだい喧嘩はここまでね」


と2人の間に美鈴が無理やり入る。


その瞬間、一気に緊張した表情になる涼、美鈴の腕の肌が自分の肌に直接あたる感覚に、涼はいろいろと耐え切れずに立ち上がる。


その夜、涼はその感覚を忘れられずになかなか眠ることができなかった。
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