ケーキ屋の彼

「楽しかったね」


「だな、意外と楽しめた」


あの後アイスを食べた6人は疲れたのか、すぐに眠りについた。


2日目は特に何か特別なことをするまでもなく、穏やかな時間を過ごし、6人は東京に帰ってきた。


我が家に戻ってきた涼と柑菜は、とりあえずふかふかのソファに腰かける。


喉が渇いてはいるが、ソファから冷蔵庫の距離でさえ長いと感じてしまう柑菜は、涼に頼もうとした。


「ねえ、何か飲みたくない?」


柑菜が考えたのは、誘導作戦だった。


「うん、たしかに」


涼は、柑菜が思う返事をせず、ソファに寄りかかって動こうとはしない。


それでも柑菜は諦めずに、どうしたら涼が動くのだろうと頭を働かせていた。


しかし、柑菜は思う、自分で取りに行ったほうが早いのではないかと。


柑菜が立った瞬間「俺にも」と一言テレビを見ながら言う涼に、殺気を覚える柑菜。


しかし、喧嘩をするよりもとにかく何かを飲みたいと思っている柑菜は、出かけた言葉を飲み、飲み物を取りに行った。


冷蔵庫を開けると、炭酸水とオレンジジュースが一本ずつある。


柑菜は、大きめのコップを出して、それを1:1で割った。


これは絶対美味しいわ、とそれを一口飲む柑菜。


「ん~!! 生き返る~!」


ジュースが乾いた身体に染み込んでいくのを感じながら、柑菜はそれを一気に半分以上飲んだ。
< 121 / 223 >

この作品をシェア

pagetop