ケーキ屋の彼

10月23日、天気は快晴。


柑菜は駅の改札口の近くでそわそわしながら秋斗を待っていた。


亜紀と櫻子に選んでもらった服装を身に纏い、自分に似合っているかな、と何度も確認する。


秋らしく、ボルドー色の膝までのスカートにベージュのブラウス。


丸1日かけて、亜紀と櫻子が柑菜のために考えてくれた服。


それを着ている柑菜は、いつもの彼女とはまるで違う雰囲気を醸し出していた。


「柑菜……さん?」


後ろから、名前を呼ばれた柑菜はゆっくりと振り向いた。


「なんか、その、……今日は雰囲気違うね」


柑菜の姿を見た秋斗は、柑菜から視線を逸らしている。


「あ、変……ですか?」


「全然そんなことないよ。ただ……なんだか緊張しちゃうなあと思って」


秋斗は、いつもよりも大人な雰囲気を漂わせる柑菜に息をのむ。


今まで可愛らしい妹みたいだと思っていた柑菜は、今日は1人の女性として秋斗の目に映っていた。
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