地味OLはシンデレラ
社長と入れ替わるように、栗原が会議室に入ってきた。

机の上に並んだ写真を食い入るように眺めている。
「栗原はどう思う?」
「ブルーやグリーンもいいですけど、私はこれですね」
栗原は一枚の写真を手に取り、満面の笑みを浮かべてる。

ワインレッドのパーティードレスは、栗原の魅力を最大限に引き立てている。

「それはそうと、今日は家に帰るのか?」
隣に空き巣が入ったアパートに帰るのは、相当怖いだろうに。
「実は引っ越すことになりました。次が決まるまではホテル暮らしです。これは社長命令なんですけどね」
「セキュリティがしっかりしたところにしろよ」
「社長と同じこと言ってる」

もし、栗原の身になにかあったら…。
栗原の魅力に気づいた誰かが現れたら…。

そうか。
俺は栗原のことが好きなんだ。
でも栗原は俺のことを、苦手な上司としてしか想ってないかもしれないな。

どうするかな。
外堀から埋めていくか。


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