【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜

「え…愁(しゅう)さん…?」


愁さんとは、片平愁(かたひらしゅう)と言って、私の9つ年の離れた彼氏…のはずなんだけれど。
それは、紛れもない事実のはずなんだけれど…。


「ねぇ?愁…?今、お腹動いた…かも」

「え?本当に?どれどれ?」

「もー…ココ外だよ?恥ずかしいじゃん」

「だって、お腹動いたって言うからさ」


やんわりと、お腹をガードするように歩く女性。
その傍らには、愁さんが優しく寄り添っていて…。
その一場面で、なんとなく自体を把握してしまった、どうしようもなく物分りの良過ぎる自分に、心の中で舌打ちをした。

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