週明け出勤早々に、陽太くんとエレベーターで出くわした。


「おはようございます」
「おはよう、秋吉さん」

 他の社員や別のフロアに入っている他社の社員も乗り合わせているから、それ以上の会話は憚られる。
 でも、視線だけで彼を見たら目が合って、慌てて逸らしてしまった。


 先週の金曜は、彼がデートを仕組んでくれていて。
 仕事のことをたくさん話したり、プライベートなことも少し聞けた。
 それから、帰りたくないと思っていたら部屋に誘われて……。


 ――「仁香に会いたいって思ってたんだよ」

 あの時の優しい彼の表情やまっすぐな視線、髪に触れられた感触と手の温もりが忘れられない。
 長崎の夜と同じように、彼のひと言を何度も思い出しては頬が緩んでしまう。


 終電を逃してもいいから、帰りたくなかったな。
 彼に愛されたかったのではなくて、あの時間がずっと続いてほしかったから……。