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「お疲れ」


 着慣れているとはいえ、やっぱり窮屈だった着物を脱ぎ一階へ降りていくと、階段の下で社長が腕を組んで立っていた。

 まさかまだいるとは思ってなくて気を抜いていた背筋は、条件反射でぴんと頭の先まで伸びあがる。


「きょ、今日はありがとうございました」


 ちょっとだけ嬉しいと思った胸には気づかないふりをして、日本語でかけられた言葉にぴょこりと頭を下げた。

 黒のロングコートに身を包んだ社長は、うんと頷いただけで、当然のように私の手からスーツケースを引き受ける。


「あ、あの……」

「飯、食いに行くぞ」

「え!?」


 階段から一階を覗くと、カウンターの中で、叔父がお客様の相手をしているところだった。

 毎回、見世物を終えたあとには、叔父の握りをいただいている。

 今日も二十一時を回ったあとの不摂生に罪悪感を抱きながらも、うきうきとそのつもりでいた。


「いいものを見せてもらったが、日本にチップ制はないからな。その代わりだ、奢ってやる」