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 突然現れたイケメン社長に、母は寝巻き姿を隠すに隠せないまま、焦った様子で「どうぞどうぞ」と遠慮なく娘を差し出した。

 母親年代の頬をも赤く染めさせる社長は、やっぱり罪な男だ。

 母は出かけようとする私を引き寄せて、「お泊まりしてきてもいいわよ」と、耳元でまったく必要のない気を利かせる。

 妙な誤解に顔を赤らめた私に、母もまた詩織と同じようにニヤリとした笑みを見せた。



 社長とふたりで暗い夜道を歩くこと数分。

 辿り着いた旅館のロビーは温かく、暖色の明かりをともすだけの夜にひっそりと静まり返っていた。

 フロントだけは煌々と明るく、カウンターの中では夜勤担当の男性が自動ドアの音に気づいたらしく顔を上げていた。


「おかえりなさいませ」


 歩み寄る社長をにこやかに迎えてくれるその人は、社長よりも年上の中川さんだ。

 社長のそばについてくる私にも目を移し、会釈をしてくれた。