冷徹社長の容赦ないご愛執
 予約はふたりで、って誰か一緒に連れて行きたい人でもいるんだろうか。


『場所はあとで教えてくれ』

『かしこまりました』


 私は予約を無事に取り付けて、あとは場所を示したマップをメールででもお送りすればいいだけだ。

 多少の違和感がもやっと耳の奥に残ったものの、まだやるべき業務へ頭を切り替えた。


『これから社内を見回ろう。浅田室長に連絡を』


 どうやら橘勇征社長という人は、血も涙もない鬼のような仕事人間というわけではないようだ。

 せっかく段取りをしてくれていた浅田室長の社内案内を、これから受けてくれるらしい。

 やっぱり人と人とは、ちゃんと関わってこそわかり合えるもので、そこから円滑な交流が生み出される。

 会社という組織において、それが必要であることは、絶対実力主義の橘社長であったとしてもちゃんと理解をしているのだろうと安心した。



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