この胸のときめきは?
もっともっと心配して!
アパートへ帰り、現実に戻ると、イケメンのDrと仲良くなるなど、どう考えても無理なこと。


容姿にはそこそこ自信はあっても、病院にだって若くて綺麗なナースなどいくらだっているし。


患者など相手にされるはずもない。


2、3日で風邪の症状はなくなった。



好きになったところで無駄だと思いながらも忘れられず、わざわざ代休までとって、内科外来を再受診した。


「風邪の方はどう? よくなった?」


内田Drはパソコンから目を離すと、優しい笑顔を向けた。


「あ、はい、風邪は良くなりました!」


恥ずかしくなって、思わずうつむく。


「胸が苦しいのはどう? まだドキドキしたりするのかな?」


「は、はい、それはまだ治らなくて・・・」


「そう? 変だな。 血を採って調べてみたけど、バセドウ病ではありませんね。じゃあ、やっぱり心臓かな? 24時間ホルダーつけて調べてみようか?」


24時間ホルダー?


「そ、そんなのいいです。心臓なんて悪くありません!」


思わず、大袈裟に手を振って拒否した。これ以上、重病人扱いをされたくない。


「えっ? だって胸が苦しいんでしょ? よく調べてみないとわからないんだけど」


内田Drはちょっと気分を害したような顔をした。


なんて返事をしたらいいんだろう?

紹介状なんていらない!

「まだ若いし、自律神経とかでもないと思うけど。
家族の中に心臓の悪い人っているのかな?」

「多分、いないと思います」


「もう一度、胸の音きかせてもらえるかな?」


そう言ってDrは聴診器を耳にかけた。


また真剣な顔で胸に聴診器を当てる。


「確かに速いよな~」


Drの困った顔をみて、なぜか楽しい気持ちになる。


クスッ、もっともっと心配して!















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