契約の彼女と彼の事情

30話

その後、ずっとしたままで、涙でぐちゃぐちゃになったメイクを落とし、
普段の服に着替えた。

修一郎さんは、アクエリアスと一緒に買ってきた、
レトルトのお粥を温めてくれている。

「はい」

お粥を器に移して、差し出してくれる。

「ありがとう」

ゆっくりとお粥を食べる。

「本当に今日、夕飯作らなくていいの?」

「うん、まだ休んだ方がいいから、僕ももうすぐ帰るよ」

「あのね、夢もう1個あるんだけど」

「何?」

「高校の時からの憧れで、婚約指輪と結婚指輪はティファニーがいいなって」

「それって、プロポーズOKだと思っていい?」

こくりとうなずく。

多分顔は真っ赤だ。
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