契約の彼女と彼の事情

9話

出会ってから2か月がすぎた頃、おばあ様に会う事になった。

おばあ様の事はいろいろ聞かされていたので、
不安になっていたのだが、それどころではなかった。

何、この家・・・?

東京都心で一軒家と言うだけでもすごいのだが、
いかにも旧家といった趣で、塀があり、門が威圧してくる。

門から少し覗いただけでも、
広い庭があり、丁寧に整えられていた。

「お屋敷といいますか、昔の貴族が住んでいそうですね」

「一応、華族の末裔だからね」

呆然と言うと、肯定されてしまった。

月10万をポンと支払うのだ、それなりにお金持ちだと思ったが。

「舞?」

「いや、修一郎さんの事、何も知らないんだなと思って」

「引き返す?」

「女は笑顔と度胸!」

「相変わらずだね」

手を差し出され、戸惑いながらも手を出す。

「絶対、味方でいるから」

その言葉を背に、屋敷を睨んだのだった。
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