日柄が仏滅という事もあり、今日の式は2件だけだった為、比較的ゆったりとした空気が式場には漂っていた。
麻耶は今日は美樹のフォローで列席者のインフォメーションの担当だった。

事務所に入って始と目が合うと、ニヤリと笑われて麻耶は顔が熱くなるのを感じた。
「おはようございます。いろいろと……」
そこまで言葉を発した麻耶に始は、
「よかったな」
それだけ言うと、すぐに館長の顔をして事務所を出て行ってしまった。

(そんなに顔に出てる?私……)

「美樹さん、今日はよろしくお願いします」
ニコリと笑って挨拶をした麻耶に、
「こちらこそ今日はよろしくね~、麻耶ちゃんだと安心していろいろ任せられから嬉しい!」
「がんばりますね!」
美樹はじっと麻耶を見ながら、ニコリと笑った。
「ねえ、麻耶ちゃん……」
「はい?」
「今日は、元気みたいね。よかったわ」
「え?そんな顔してますか?」

(なんで、何も言わないのにそんなにみんなにわかっちゃうの?)

「すごく顔色もいいし、笑顔が以前の麻耶ちゃんだもん」
ふふっと笑って言って、美樹は「じゃあ、今日はよろしくね」そう言うと綺麗な笑顔で事務所を出て行った。

(知らない所でたくさんの人に心配をかけてたんだな……)

何も言わないでいてくれた優しさが嬉しくて、麻耶は気合を入れなおして正面玄関へと向かった。