極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
臆病者の反撃
【三年前】


朝比奈さんのサブ的な立場になってから、当然一緒に行動することが増えて、仕事の後に食事に連れていってもらったり飲みに連れていってもらったりする機会も必然的に多くなる。
募る想いをお酒の勢いで告白してしまった挙句、後悔と恥ずかしさで真赤になって泣きそうになった私に、朝比奈さんは少し驚いたような顔をしたけれど、優しく抱きしめてくれた。


『いいよ。付き合おうか』


まさか、了承してもらえるとは思っていなかった私は暫し放心したものだ。


「今でも信じられないなあ」


東武百貨店のバックヤードで、倉庫の整理をしている途中、粗方落ち着いたので気が抜けて気持ちは朝比奈さんとのことに向かってしまう。
信じられないけど嬉しくて、思い出せばつい頬がにやけてきてしまう。


今日は、クリスマスイブだ。
時間はもう夜九時を過ぎてしまったけれど。


付き合ってもうすぐ二か月目、恋人になって初めてのクリスマスだが、洋菓子業界に居てクリスマスをプライベートで過ごせる可能性などほぼ諦めている。


手が回らなくなることが予測されていたこの店には、元から朝比奈さんとふたりで手伝いにくる予定になっていた。
例え仕事でも好きな人と一緒にいられるならいいか、と思っていたのに。


彼は、別の店舗で起きたトラブルに駆り出されてしまった。

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