腹黒王太子の華麗なる策略
5、初めての城出
クリスにキスをされたあの日から三日経った。

彼の世話をコレットにお願いして、私はずっと彼を避けている。

なのに、考えるのはクリスのこと。

彼がコレットに私のことを何か尋ねたんじゃないかと期待していた自分。

でも、コレットにクリスの様子を聞いたら、私のことには一切触れなかったらしい。

彼にとって私はどうでもいい存在だったんだって知ってズキンと胸が痛くなった。

クリスに会わないと決めたのは私なのに、彼に会いたくてたまらない。

自分の想いが強すぎるのか、毎晩彼は私の夢に現れる。

『愛してる』

聞いてる方が胸が痛くなるくらい、熱く、切ない声でクリスは囁く。

それから、彼は私にキスをして、私を抱きしめて眠るのだ。
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