ツナガっていた
短編読みきり
「最近の手術は、切らないで体の負担を減らす方法がとられることが多いんだって」

 そう聞いたのは久しぶりに帰省した時に母が言っていたんだったか。
 その時はへーって聞き流したけど、よく考えると確かに小さな傷でも痛いんだから手術って言ったらすごく辛いに違いない。

「どうしてこんなこと思い出しんだろ」

 出来上がったシチューを前に、ふっと一人で食べる食事に味気なさを感じる。
 あまり会えないことに業を煮やした私が別れを告げた彼氏と会わなくなって一年だ。
 もう彼には新しい彼女でもできたのかなと考えながらジャガイモを口に入れる。

 ほろっと崩れて口の中でしんなりなじんでいく。
 きっとこれは美味しいジャガイモだ。
 でも本当の味がよく分からない。

「お前が作ったシチューって特別美味いよな」

 仕事の疲れなんて見せないで、いつも笑顔を見せてくれていたあの人の顔を思い出す。
 今日はどうしたことか、人恋しくてたまらない。
 寒くなったせいだろうか。

(元気?なんて今更LINE送ったら引かれるかな)

 スマホを手に、まだ消せないでいる彼とのLINEトークを開く。
 最後の会話は『ごめん、今週も無理っぽい』『もういいよ。さよなら』だった。
 会わなくなってからの一年、私は毎日後悔していて、今もそれは続いてる。

 ちゃんと会って別れないっていうのがいけなかったのか。
 自分の捨て台詞のようなトークで切れてしまったのがいけないのか。
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