俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
7 敏腕社長様の飴とムチ(後)
翌朝は、前日よりも二時間早く家を出た。
始業の三十分前には社長室へ来るように命じられたことと、純粋に大河の家から通うよりも会社との距離が遠いこと。
なにより、父と顔を合わせているのが正直気まずかった。

これみよがしにテーブルの上に置かれていた婚姻届けも、さっさと実家をあとにしようと思わせた要因のひとつだ。

就業二日目ということで、リクルートスーツはやめて、大河が買ってくれた白いツイード生地のスーツに袖を通した。
自分でも垢抜けたなぁとは感じていたのだけれど――

「うわぁ、姉ちゃん色気増し増しじゃん。男ができると変わるもんだな」

莉生の嬉しい揶揄に、ちょっぴりテンションを上げながら家を出た。

もしかしたら、今日も大河に冷たい態度をとられるかもしれないけれど、めげずにしがみついていこうと、気合を入れ直す。
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