chocolate mint
6
***


「……悪いな、葉山」




『僕に悪いと思ってるなら、青木さんがあの人を何とかして下さい』



そう言ってしまいたい気持ちをぐっと堪えて、「……大丈夫ですよ」と言葉を返す。




素肌が触れ合う温かな体温を感じながら微睡んでいた時、ベッドの下に脱ぎ捨てた服の中から『Felitita』の着信音が聞こえて、僕は慌てて飛び起きた。




香織ちゃんが起きなくて良かった、とホッと息を吐いたけど、電話の内容は予想していた通りに有紗さんからの呼び出しで……





もしかしたら今頃、目を覚ました香織ちゃんに寄り添って甘い時間を過ごしていたのかもしれないのに。




ーー『……ゆうすけ……くん』




僕が『香織ちゃん』と名前を呼ぶ度に、彼女は吐息混じりの甘い声で応えてくれた。




首筋に、背中にしっかりと回された腕や手のひらの感触も、体温も……まだ絡み付くように身体中に残っている。





あの瞬間だけは……間違い無く僕の事を求めてくれていたと思う。




早く会いたい。




ちゃんと顔を見て話がしたい。気持ちを確かめたい。


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