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レオン様と初めて口付けを交わした日から、半月ほどが過ぎた初冬。

王都は国の南に位置しており雪は降らないが、冷たい北風に吹かれて木々はすっかり葉を落としている。


貴族の冬は忙しい。各々の領地から王都に集まってきて、宴が頻繁に催される。

私もオルドリッジ家の娘として、週の半分は交流に勤しんでいた。


私を王太子妃に迎えるという正式な発表はまだこれからだが、レオン様は時間が許す限り私をそばに呼んでくれて、心温まるひと時を過ごさせてもらっている。

恋心を自覚して彼を受け入れ、王太子妃になるという覚悟を決めてしまえば、以前のように苦手意識を覚えることはない。

けれども、会話の端々で彼に困らされることは多々あった。


空が茜色に色づいている今は、お茶の時間。

レオン様の執務室に隣接する応接室に呼ばれた私は、長椅子の彼の隣に腰掛けている。

この部屋に初めて呼ばれたときは、私のためにわざわざ女性向けの可愛らしいテーブルセットが用意されていたけれど、今は元からこの部屋にあった機能的で落ち着いた色合いのものが置かれている。

それは、そうしてくださいと私が頼んだためである。

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