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澄み渡る青空が広がる、気持ちのよい初夏。

カルディンブルク王国の王太子、レオナルドは、王都の大聖堂にて婚礼の儀をすませ、城の大邸宅へと戻ってきたところであった。


息つく暇もないとは、今日のことをいうのだろうか。

式典に慣れている彼であっても、伝統を重んじる細かな決まりごとの多い儀式に神経を擦り減らし、参列した貴族たちからの長々とした祝辞を受け続けては、いささか疲れを感じていた。


けれども心には、今日の日を無事に迎えられた喜びの方が大きい。

最愛の女性を、我が妃と呼べる日がやっと訪れたのだから。


南棟の二階にある大ホールは、夕方より開催される祝いの宴の準備がなされている最中であった。

忙しそうにテーブルや椅子を並べている使用人たちが、ホールに入ってきた王族一同を見て、作業の手を止めて頭を下げる。


「ご苦労様。気にせずに準備を進めていいよ」と気さくに声をかけたレオナルドは、輝くたくさんの勲章や大綬で飾られた軍服姿だ。

その凛々しくも麗しい姿に若いメイドが揃って頬を染めているが、彼の腕に手をかけて粛々と隣を歩くオリビアしか、青い瞳には映っていなかった。

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