今日だけは城門が開放されて、王都の民が祝福に押し寄せている。

広大な前庭の芝生は人が溢れんばかりで、入りきらぬ民の行列が、門の外にまで続いていた。

ここは小高い丘の上なので、王都の街並みも、その向こうの港や灯台、青く輝く海までよく見える。

港の大型商船が、祝いの汽笛を鳴らす音も、海風に乗って微かに届いた。


バルコニーに足を進めるレオナルドの歩調は、オリビアに合わせてゆっくりだ。

彼女は後ろの裾が引きずるほどに長い、純白のドレス姿なので、速くは歩けない。

ふたりは並んで手すりの手前に立った。

眩しい日差しの中へ現れた麗しいふたりの姿に、歓声は勢いを増す。


これからレオナルドの挨拶が予定されているのだが、こんなに騒がしくては、いくら声を張り上げても、近くの者にも届かないことだろう。

現に「君の美しさに、皆が興奮しているよ」と隣のオリビアに話しかけても、「え?」と聞き返されてしまい、彼は苦笑いした。


(歓声がやまぬのも、無理はないか。オリビアがこんなにも美しく輝いているのだから……)


プラチナブロンドの髪はサイドを結い上げ、眩いティアラで飾り、一流職人の手で縫い上げられた豪華なドレスを纏った彼女は、貴族的な気品に溢れている。

けれども、大きく丸い瞳やぷっくりとして柔らかそうな唇は少女のような可憐さも残していて、愛らしいという印象を与えた。

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