イジワル外科医の熱愛ロマンス
迸るパッション
GWに入る前のこの一週間は、特に忙しかった。
休暇中の教授の仕事の予定については、先に準備しておかなきゃいけない。
休み明けにバタつかないよう、私の仕事も前倒しで進めておかなきゃいけなかった。


そんなわけで、二週間分の仕事を詰め込んでこなした一週間――。
ようやく金曜日を迎えても、仕事を終えてすぐに東京から大阪へ移動。
部屋に入るまでのひと騒動もあったし、入ってからも落ち着かず……私はさすがに疲れていた。


シャワーの温度を、いつもよりちょっと熱めにした。
本当は、バスタブにお湯を張ってしっかり湯船に浸かりたいところ。
でもこの壁の向こうにバスローブ姿の祐がいるかと思うと、服を身に着けていない時間が長引くのは心許ない。


結局、身体の汚れを流すだけでシャワーを済ませる。
バスローブを身に纏って、ようやくホッと一息ついた。
そして今度は逆に、ゆっくり丁寧に髪を乾かす。
この姿で祐がいる部屋に戻るのに躊躇して、無駄な葛藤を始めたせいだ。


と言っても、ここはホテルの一室。
いくらハイグレードの部屋でも、バスタブとトイレ、洗面台は同じ空間にある。
朝まで立てこもるわけには、もちろんいかず……。


「お~い。雫。まだ風呂か?」


案の定、ドアの外からそんな声をかけられた。
< 176 / 249 >

この作品をシェア

pagetop