鬼部長に溺愛されてます

「な、なんですかそれ! 神様にお願いするほど寝相は悪くないです!」


ついムキになって反論する。
そんな私を見て、桐島さんは「冗談だ、冗談」と引き寄せた。


「麻耶の拗ねた顔が見たかっただけだ」


そう言って、髪の毛に軽いキスを落とす。
拗ねた顔が見たいだなんて、どれだけSだというのか。
でも新年早々、私をからかうなんてちょっとひどい。
桐島さんの腕をすり抜け、玉砂利をひとりでずんずん歩く。


「待てよ、麻耶」


ふーんだ、知らないんだ。
足を速めるけれど、玉砂利に足を取られて思うようにはいかない。呆気なく桐島さんに掴まってしまった。


「機嫌を直せ、麻耶」


そんなあやし方じゃ、子供だってへそを曲げるだろう。
思ったそばから頬をかすめた桐島さんの唇に、ついニヤけてしまう。

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