切ない春も、君となら。
好きな人、教え合いっこ
学年キャンプが終わり、ゴールデンウィークに突入。

莉菜も泉も彼氏と二人きりで旅行に行くからということで、変に絡まれることはなく、比較的穏やかな休日を送ることが出来た。


と言っても、杏ちゃんも連休中は家族で田舎のおじいちゃんの家に遊びに行くと言っていたし、近田君も部活が忙しいからと言って私とは会ってくれなかっ……って! 近田君はたとえ暇でも私となんか会ってくれないって!


だから連休中は自分の家で読書をしたり、勉強をしたりして過ごすことが多かった。これはこれで勿論、のんびりとした、それでいて充実した日々だったのだけれど。


でも、連休が明けたらもう少し友達が出来るといいなぁー。今のところ、LINEのID知ってるクラスメイトって杏ちゃんと近田君と基紀君だけだもんね。



……そう言えば。


ハイキングの時、それなりに会話したけど……



松岡さんの連絡先って知らないなぁー。






そして二週間後。



「中間テストの成績表、全員受け取ったかー?」

朝のホームルームで、担任が教壇の上から大きい声でそう伝えてくる。


「各自、自分のクラス順位や学年順位はしっかり把握しとけよ! 今回不本意な結果だった奴は期末で挽回する様に! 以上!」


挨拶を終え、担任が教室を出て行くと、クラス中がテストの結果の話でざわつく。

良い結果な悪い結果。皆それぞれ思うことはあるだろう。


私はと言うと……。


「何かにこにこしてるな」

隣の席の近田君に、うっかりそうツッコまれてしまった。

するとこちらの席へやって来た基紀君と堀君も、私に対して同じ様なことを言う。


「テストの順位、良かったの?」

堀君がそう聞いてくれたのだけど、私が答えるより先に基紀君が


「いやいや。この金髪が成績良い訳ないっしょ。せいぜい、ビリだと思ってたらブービーだったから嬉しくてニヤついてただけだろー」

と言って、私が手に持っていた成績表を奪い取る。
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