お見合い相手は無礼で性悪?




家に帰った後はずっと部屋に閉じこもって
何が引っ掛かるのか考えていた

もしも、あいつがニッコリ笑顔だったら
受け入れたのだろうか?

もしも、先に聞かされていたら
もう少し違った印象が持てたのだろうか?

どう考えようとも現状が変わるわけでもなく
私がどうであれ

あいつは自分が婿養子だと分かった上で
あの態度だったのだ

だとすると・・・


行き着く先も見えない堂々巡りに
頭を悩ませながら


気がつけば
夢の中へと落ちていた




・・・




『まぁ、どうしたのかしら、その格好
鍵をかけたまま閉じこもってるし・・
朝は起こしても起きないし・・
携帯の電源は落ちてるっていうし・・・』


寝ぼけたまま母の前へ顔を出したのは
お昼を少し過ぎた頃

まだボンヤリする頭のままソファに腰掛けて
母の声をどこか遠くに聞いていた

コトン

ガラステーブルに置かれた
コーヒーに手を伸ばすと


『ショッピングセンターで一翔さんに会わなかったの?』


母はトレーを持ったまま興味津々で向かい側に腰掛けた


『少しでも早く打ち解けたいから迎えに行きたいって
お父さん宛に一翔さんから電話があったのよ』


・・・は?


母のニヤケた顔にも少しムカつくけれど
聞かされたあいつの嘘に苛立った


『少しでも早く打ち解けたい?あいつがそう言ったの?
迎えに来たショッピングセンターで失礼なことばかり言うから“一緒には帰らない”とお断りしました
あんな失礼な人とはお見合いも結婚もしませんからね!パパには私から話します!』


言い切ったところで母から笑みは消え
自分でも大きな声が出たことに驚いた

たぶん・・・
生まれて初めて母に強い言葉を使った気がする

少しの罪悪感はあるものの現状で私の気持ちは100%ノーなのだから引き下がれない

だって、これから先の
長い時間を共に過ごす相手のことだから

簡単には譲れない

そう思って母からの反撃を待ったのに

少し驚いた顔をした母は


『24歳にもなって反抗期かしら?
お父さんと一度よく話してみて』


最後はフフフと笑うと自分の部屋へ戻ってしまった


意外な肩すかし・・・


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