契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
ドアが開いて入って来たのは、ダークグレーのベストの上に、光沢のあるライトグレーのタキシードを纏った悠さん。

髪の毛は真ん中からサイドに流すように丁寧にセットされていて、無造作におろしているつもとは雰囲気が全然違う。

なんだか照れくさくて視線を合わせられない。

鼓動が早くなるのがわかる。

今、心拍数ヤバいんじゃないかな。

病院送りにならないかな。

ウェディングドレス姿で救急搬送なんて絶対勘弁してほしい。


ちらっと上目で見たら、悠さんも目を丸くして私を見ていた。

「じゃあ、私は外に出てるわね」

気をきかせたお母さんが部屋を出て、悠さんは微笑みながらゆっくり近づいてくる。

「きれいだ。凛」

「悠さんも素敵です」

「帰ったら嫌っていうほどキスするからそのつもりで」

「えっ」

クスクス笑いながら悠さんは片膝をつき、右手を差し出した。

「…契約結婚のプロポーズしかしてなかったから、今さらだけど言わせてくれ。
凛のことを、心から愛してる。
俺の隣でずっと笑っていてほしい。
そばにいてくれるか?」

溢れ出した涙を止めることはできず、私は悠さんの手を取って泣きながら微笑んだ。

「…はい。ずっと、悠さんのそばにいます」



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