契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
だけど、お見合いの話を聞いたとき、長野に帰ってしまうなんて…誰かのものになるなんて、絶対に嫌だと思った。

自分でも驚いた。

この時になってようやく俺は、自分の気持ちの大きさを実感したんだ。

彼女を譲りたくなくて、俺は咄嗟に馬鹿げた提案をした。

ポーカーフェイスを装って。


彼女が俺のことを好きじゃなくても、それでも俺を受け入れてくれるなら…

彼女のことを絶対に幸せにしようと心に決めたんだ。


初めて名前を呼んだ時。

初めて抱きしめた時。

初めてキスをした時。

俺がどんなに緊張していたか…

そして、職場では見ることのできない、

キッチンに立って「おかえりなさい」と微笑む姿。

真っ赤になって恥ずかしがる姿。

あの頃と同じ、あどけない寝顔。

それら全部をどれだけ愛しいと思ったか…


きっと彼女は、知らない。



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