いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~

零れ落ちる、恋



朝──。

まだ少し早い時間だったけれど、私はいち君にメッセージを送った。

体調がすぐれないから、今日いち君の家にお邪魔するのはまたの機会にしたいと。

突然のキャンセルに彼は落ち込むでも怒るでもなく、逆に心配して電話をくれた。

俺のことは気にしなくていいから、ゆっくり休んでと、優しい声で。

罪悪感に、じくじくと痛む胸。

寝不足な上に未だ気持ちが晴れない私としては半分は真実だ。

でも、今は会いたくないという気持ちが強いからこそのキャンセルだった。

会えばきっと、何かをきっかけに責めてしまいかねない。

冷静に考える時間が欲しかったのだ。

タイミングが良いことに、今日からお盆休みに突入している。

私も明日から実家に帰省する予定なので、休みだけれど彼と会う予定も立てていない。

ゆっくり家族と過ごせば、気持ちも整理できるのではないかと考えている。

ただ、勘違いじゃないのかと、そう考える自分もいる。

でも、吉原さんの言葉のあとにあの光景を見てしまったら、何かあるとしか思えない。


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