極悪プリンスの恋愛事情

甘い誘惑



「んー、どこも変じゃないかなぁ……?」


ぽつりと声を吐きながら、ショーウィンドウに反射した自分の姿を確認する。


この日のために必死で研究したヘアアレンジとメイク。

お年玉を前借りしてまで買った勝負服。


こんなに頑張ったんだもん。絶対に可愛いはず。

自分に言い聞かせるように頷いた。


なにせ今日は、待ちに待った凛くんとのデート当日。


冬休みに入ってすぐの週がいいと提案したから、凛くんに会うのはほんの数日振りくらいなんだけど、やっぱりドキドキする。


しかも校外で会うのは初めてなわけで、凛くんの私服姿まで拝めちゃう。

期待と緊張が入り混じり、さっきから顔のにやけが止まらない。


…………どうしよう。

いきなり「好きだ!」とか言われちゃったら。


恥ずかしいけど「私も好き」って答えちゃう!?

そしたら堂々とラブラブデートできるし、一石二鳥かも!



なーんて。

浮かれに浮かれまくって、ありもしない妄想ばかりしてしまう。


ショーウィンドウ越しに凛くんを演じる姿は、どう見ても危ない人。


異性と………しかも好きな人と待ち合わせ中の女の子には、とても見えないだろう。


< 208 / 313 >

この作品をシェア

pagetop