「なっ、何で葛城圭介先生、貴方がここに!」

上擦った声が訊ねる。
葛城圭介の鋭い視線が私を睨む。

「赤尾真央さん、さては貴女、釣書も見ずに見合いに臨みましたね」

ドキンと心臓が音を立てる。

「あらやだ、赤尾さん、さっき車の中で」
「土田さん、ごめんなさい。嘘を言いました」

深々と頭を下げると、土田さんではなく葛城圭介が盛大な溜息を漏らす。

「これで分かった。君が何年も見合いを続けていた訳が」

釣書の件は悪いと思うが、それで私の何が分かったと言うのだ。

「何年も話がまとまらないはずだ。君みたいな……」
「ストップ!」

葛城圭介の言葉を中断させたのは、男性側の仲人であり、花香女史の甥でもある小泉真斗さんだ。

「お前、今、女性を蔑視するような言葉を言いかけたな。刑法……」
「悪い、つい……」

ん? いつになく素直だ。二人は知り合い?

「葛城様、誤解のないように申しておきます。赤尾様は、決していい加減なお気持ちで、見合いに臨まれているわけではありません。いつも真摯に向き合っておいでです。今回は……何か訳があったのでしょう、お許し下さい」

深々と頭を下げる土田さん。