お見合い結婚狂騒曲
それが何故ヒットに結びついたかといえば……。
結婚して、万が一にも離婚することになったとしても、弁護士である仲人がしっかり間に立ち、親権やら慰謝料やら、金銭的な面も含め諸々を穏便に解決するために、平等な話し合いの場を設けてくれるからだ。

根本に安心ありきの生活が送れることほど、安定した結婚生活はない。
日本経済低迷の世を生きてきた、今時女子の心を捉えるのに、ピッタリなサービスだったということだ。

ちなみに、入会費は通常の結婚相談所とそう変わりないが、入会条件が厳しく、紹介が無ければ登録してもらえない。登録できたのは、公香様様のお陰だ。

「しかし、真央が見合い結婚を選ぶとはね」

『見合い屋』を紹介してと言った時、公香は驚いた。さもあらん。幼馴染でもある公香は、夢見る夢子さん時代の私を知っているからだ。

「白馬の王子は消え失せて……もないか、何、この条件! 身の程をわきまえなさい。何処ぞの国のプリンスとか御曹司とかを狙っているの!」

記入した登録情報を見た時、公香は雷を落とした。
現実を見よ! ということだったらしい。

当時、そう言っていた彼女だが、先の通り、自分はイケメン御曹司と、とっとと結婚してしまった。

フン、裏切り者!

いくら親友の言葉だからと言っても、妥協して後悔はしたくない。
恋愛結婚を諦めたのだ、これぐらいの我が儘は許して欲しい、と思うのは罪なのか?

まぁ、兎にも角にも、こうして私の見合い生活は始まったのだが……本当、世の中は甘くない。
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